さて、今回のトピックは「五十肩」治療家泣かせのこの症状、困って見えるのは患者さんだけではなく、治療家自身も困っている人が多いのではないだろうか。

程度も人それぞれなら状況も様々で中々一筋縄ではいかない。

なので今回は少しでも治療家、患者の両者の参考になればと思い記事を書いてみる。

まず私個人の考える発生機序だが、組織の劣化は除外して、肩関節の周囲の筋のアンバランスさにある。

一言で言っても、関節の整合性を保つには、前後、上下の筋テンション、肩甲骨の位置、肩甲骨の可動、筋の連動まで含めれば要因は四肢の遠位までいってしまう。

しかし今回話したいのは、中と外、つまりインナーマッスルとアウターマッスルの関係が非常に大きいと考える。

具体的にはローテーターカフと三角筋だ。

結論を先に言うと、ローテーターカフが弱く三角筋が固く（強く）なりすぎると、動きの順番が狂い、インピンジメントが起こる。

※以後、専門用語はなるべく使わないようにします。

 

分かりやすく言うと、関節の動きには、スムーズに動くには、筋が働くのに正しい順番がある。

例えば肩関節においては、まず一番目の筋が骨を正しい位置に調整する役割だとする。

そして二番目の筋が腕を上げる役割だとして、この順番が逆になると、

骨が動かしやすい位置にない状態で無理やり動かそうとする。

そうなると、関節のあちこちがぶつかるようになり、ストレスを受ける。

この状態が恒常的に継続すると、今度は関節の組織自体に変質が起こる。

良く言われるのは、カルシウムが沈着し関節滑走の引っかかりになる。

その後、拘縮に移行する。

 

この様に、関節周囲の筋の働きのアンバランスさによって、関節の骨の動きに狂いが生じて、故障が起きるのが五十肩である。

 

そこで今回、皆さんに知っておいてほしい事は、

「三角筋」を柔らかくしよう！

と言う事。

細かい解剖学はここでは省くが、この三角筋が固くなると、先ほど説明した、筋の働く順番が狂ってしまう。

一番外側にあるこの筋が固くなると、大外を固めてしまい、中の細かい筋が動きにくくなってしまう。

なので、お風呂の中でも、寝る前でもいいので、肩に心配のある方はこの三角筋をしっかりほぐしてみてほしい。

反対の手で手の平全体でもみほぐそう。

 

そして日常的には、どのような使い方がこの三角筋を固くしてしまうのか。

それは、やかんを上からつかむような動き。

やってみると分かるが、このように、物を上からつかんで持ち上げるような動きの際、三角筋が固くなる。

これが繰り返されると、三角筋が固くなり、一気に関節の中で圧迫が起きてしまう。

筋トレをされる人なら分かると思うが、サイドレイズなんかはまさにこの状態になる。

なので本来はサイドレイズで三角筋を鍛えるならば、同時にインナーマッスルも鍛える必要がある。

実際の五十肩の治療の際、この三角筋の固さが非常に邪魔になる。

更に言うと、この三角筋が柔らかくなり、関節の動きがスムーズになれば、それだけで、肩の凝りや首の凝りの解消にも役立つ。

是非皆さん、この三角筋、しっかりほぐしてください。